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「見て、見て!
チョコペン持って来ちゃった!」
そう言いながら由衣は駆けよってきた。
目の前には、適当な大きさに丸めた雪の塊がある。
昨夜から降り続いた雪は、このあたりでは珍しく ふくらはぎ辺りまで積もっていた。
一面の雪景色を前に気持ちが高揚したのだろう。
由衣は 「家に行ってもいい?」
と、先ほど連絡を入れてきたのだ。
....外に出た俺は、
降り止んだ空を仰ぎみ、静まり返る世界に意識を集中させた。
そしてまだ誰の足跡も付いていない
真っ白な雪をすくう。
「冷たい。....当たり前だよな。」
手から伝わって来る冷たさと、妙な満足感に心地よさを感じた。
....由衣はまだか。
半年ほど前、俺がアルバイトをしていたコンビニに由衣はやってきた。
由衣もバイト希望だった。
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