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こんな調子で全員がスキルについて説明していく。戦闘で活躍しそうなスキルや生活に役立ちそうなスキルが色々あった。
「特に元の世界に帰れるスキルとかはなさそうだし、元の世界に帰る手掛かりも見つからなかったなあ。うーーん。元の世界に帰る方法は探すとして住む場所がないと困るから。建築スキルを持ってる人いたよね? とりあえず皆で協力して寝泊まりが出来る家みたいなのを作るってことでいいかい? 」
こんな想像出来ない緊急事態に、皆を冷静に纏められる峰川さんは本当にすごいと思う。
俺はこんな状況下だと自分の事で精一杯で、とても周りに気を配ったりする余裕なんてなかった。
「俺らはモンスター買ってくるから、戦闘出来ない奴は家づくりよろしく。行こうぜ」
江田は取り巻き達を連れて、生い茂る木々の向こうへ消えていく。
「もう帰りたい。こんな場所で暮らすとか絶対に嫌」
山下さん達何人かの女子は身を寄せ合って泣きながら愚痴を漏らしている。
何も言わずに1人で座り込むもの、人と会話して気を紛らわそうとする人など様々な人がいた。
俺は建築持ちの火口さんや峰川さんの手伝いをする事にした。俺の他にも家を建てる手伝いをしている人はいたが、人数は少ない。
本当ならこんな状況下だとパニックに陥ったって可笑しくない。俺は普通に考えれば可笑しいほど冷静だった。ただ自分が冷静でいられることにほっとしている自分もいた。他の人たちがパニックを起こしかけているから自分が冷静に思えるだけなのかもしれないけど。
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