8人が本棚に入れています
本棚に追加
優秀なスキルも特にない俺は木材を運ぶのを手伝っていた。だが木材は思っていた以上に重かった。
「重っ」
「大丈夫か? 手伝うよ」
髪を茶色に染めたチャラそうな、確か名前は黒崎純(くろさきじゅん)でスキルは散髪だった気がする人、が木材を一緒に持ってくれた。
二人掛かりで持てば何とか運べる重さだった。
「助かるよ。ありがとな」
「こんな重いの一人じゃ運べないからな。そういえばお前もしかして小坂高校って高校通ってる? 」
黒崎が口にしたのは俺の通ってる高校の名前だった。
「通ってるぜ。よく分かったな」
「俺の兄が小坂高校通っててな。去年卒業したから面識ないだろうけど。それで制服が同じだったから」
黒崎とは会話が弾んだ。同い年ということ、それにお互いにいいスキルが持てなかったことなどもあり話しやすかった。
二人で雑談しながら木材を運んだり、組み立てるのを少し手伝ったりした。
日が暮れる頃には何とか全員が寝泊まり出来るくらいの小屋が出来た。
とりあえず今夜はそこで寝泊まりする事になった。食料に関しては江田達が戦闘で取ってきた死骸などを料理スキルの子が料理して食べた。
味は不味くはなかったが、お世辞にも美味しいと言えるものではない。
次の日、戦闘が出来る人は見張りに最低限の人数を残し、モンスター狩りにいった。
結界のスキルを持っている人はいるが、侵入してくる人やモンスターが分かるだけで、追い払うことは出来ない。だから戦闘が出来る人も少しは残っているのだ。
料理スキルを持つ人は料理をして、鍛冶のスキルを持つ人は武器を作り、使えないスキルを持つ人やスキルがない人は建築などの手伝いをする、という感じで役割分担が決まった。
「ちょっといい? 」
木材をかなり運んだ為、疲れて黒崎と座り込んで雑談していると桜野さんに声を掛けられた。
「いいけど、どうしたの? 」
「二人を占ってもいい? 占いのスキルのレベルが上がって、自分以外の人も占えるようになったのよ」
最初のコメントを投稿しよう!