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俺の名前は朝河広樹(あさかわひろき)。
どこにでもいる平凡な高校一年生だ。顔も普通、成績も普通、運動神経も普通。友達は多い訳でも少ない訳でもない。俺が何かの物語に登場するとしたら、役割はおそらくモブE辺りが妥当な所だろう。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
専業主婦をしている母親は笑顔で玄関で俺に手を振る。いつも通りの見慣れた光景だ。鍵を開けて、ドアを開くと、外へと踏み出す。
その瞬間、体が不思議な感覚に包まれる。視界なら色が消え、足に力が入らなくなり前から倒れてしまう。
何だ、これは?
声も出ない、何も見えない、何も聞こえない。そんな状態で只々心の中で狼狽えていることしか出来ない。が、やがて一つの結論に辿り着く。
俺、死ぬのかな?
もしかしてこれは急病という奴だろうか。
今まで自分は健康な方だと自負していたが、そうではないのかもしれない。
消えそうになる意識の中、不思議と恐怖心は湧いてこなかった。むしろ両親や仲の良い友達の笑顔が頭の中に浮かぶ。やがてそれもなくなり、意識は完全に途絶えた。
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