第1章 異世界転移

3/11

8人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「そういえばスキルって何なのかな? 」 よく分からない事を口にしたのは桜野花奈(さくらのはな)という黒いポニーテールに、おそらく運動部か何かに入っていたせいだと思うが、少し日焼けした肌を持つ女の子だった。顔は可愛い方だと思う。 よく分からないと思ったのは俺だけではないようで、他の人も首を傾げている。 「スキル? 」 峰川さんが桜野さんに対して疑問符を浮かべながら問いかける。 「なんかスキルとかステータスが見れる見たいなんだけど……」 スキルやステータス? 俺の頭の中は益々混乱している。スキルやステータスが見れるなんて何かのゲームみたいだ。冗談で言っているのだろうか? しかし彼女の顔は真剣でとても冗談や嘘の類だとは思えなかった。 「本当だ。スキルやステータスが見えるじゃん。すげえ、ゲーム見たい! 」 怖そうな不良の江田尚人(えだなおと)が言った。声色から興奮しているのが分かる。 「本当だ。見える……」 「何だよ、これ」 他の人にもスキルやステータスが見えたらしい。興奮している人、不安がっている人、混乱している人、反応は人によって様々である。 俺にもステータスとスキルが見えた。見えるという表現が正しいのかは分からない。見えるというよりかは頭の中に浮かぶと言った方が適切な気もしなくはない。だが今はそんなことよりこの状況だ。 何故スキルやステータスが見えるんだ? 「分かった。俺達ゲームの世界とか異世界辺りに転移したんだよ。原因は知らないけど。スキルとかステータスがあるのがその証拠だ」 嬉々としていう江田さんに半数以上の人が白い目を向けている。俺も江田さんみたいなこんな状況で楽しそうにしてる奴は苦手だと思った。 ゲームの世界に転移……か。 その可能性もないとは言い切れない。ゲームは好きだからよくするし、異世界転移ものの小説が好きな友人から、異世界転移小説の話を聞かされたこともある。だからこそこの状況はゲームの世界、もしくは異世界に転移した可能性が高いと思えてくる。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加