第1章 異世界転移

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「とりあえずスキルとやらを試してみようぜ」 「そうだね。皆何のスキルを持っている? 」 江田さんの提案に峰川さんも頷きながら同意する。 さっきはスキルやステータスが見えたことに驚き、自分がどんなスキルを使えるのか確認しなかった。 ちゃんとスキルを確認しよう。 俺が自分のスキルを見たいと思うと自然とステータスが見えてくる。 朝河広樹 職業 村人 スキル 強奪 強奪 自分の殺した人のスキルを奪うことが出来る。 俺は唖然としてまじまじとスキルを眺める。まさかこんな物騒なスキルを引き当てるとは思わなかった。 俺は人を殺す気はない。どんな悪人だろうと殺すのはいけないことだと思うし、殺した人からスキルを奪うなんて以ての外だ。 つまり俺にスキルは強奪しかないから俺は実質スキルを持たないのと同じことになる。 このスキルのことは誰にも言えないな。初対面の人しかいないこの状況で、強奪のスキルのことを話したら、きっと皆からは距離を置かれる。自分のスキルを奪う為に殺すかもしれない奴に警戒しない人はいないだろう。 峰川さんは各々が自分のスキルを確認し終わると、一番始めに自身のスキルについて話し出した。 「俺は職業が戦士で、主スキルが水弾で副スキルは雨乞いだった」 峰川さんは水属性系のスキルか。正直羨ましい。俺も普通に戦闘系のスキルが欲しかった。 「俺は職業が戦士で、主スキルが火炎で副スキルは水龍だ。炎属性のスキルと水属性の副スキルだな」 江田さんは得意げな顔で言う。 江田さんは炎属性と水属性が両方使えるらしい。羨ましさしか湧いてこなかった。 「試しに使ってみたいけど、何かないかな」 江田さんが何かを探すように辺りを見回していた。 「何だあれ? 」 辺りを見回していて江田さんが何かを見つけたらしい。皆は江田さんの視線の先を見る。 その視線の先に向こうから何か動く影のようなものが近づいていているのが見えた。 ガサガサッ 大きな音を立てながら草から飛び出して来たのは……。 スライム! ? 見た目はどっからどう見てもスライムだった。
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