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「お、スライムじゃん! 雑魚モンスター見っけ。火炎」
江田さんはスライムに火炎を使うと、スライムの回りを炎が包む。一瞬でスライムは黒焦げになり、倒れた。
いきなりの事に俺も含め皆は呆気に取られて、江田さんとスライムのいた場所を見つめていることしか出来ない。
「お、経験値がもらえたぜ。レベルと火炎のスキルレベルが上がった。ラッキー」
空気が読めないのだろうか。江田さんは楽しそうな笑みを浮かべる。
モンスターを倒し、経験値を手に入れるとレベルとスキルレベルが上がるシステム……。
ここは本当に異世界なのか?
「レベルとかスキルレベルとか何訳わかんないこと言ってるのよ! 頭おかしいんじゃないの? 」
ヒステリックな声を上げたのは、誰だっけ? 自己紹介は聞いていたが名前は全員覚えられていなかった。
見た目はギャル風の気がきつそうな女の子だ。
「落ち着いて。山下さん。信じられないかもしれかいけど、ここは僕達のいた世界じゃないみたいだ」
「こんな訳分からない所にいて落ち着ける訳ないでしょ」
「そうだよ。家に帰りたい」
数人の女子が山下さんに同調する。
「とりあえず、僕達は良くわからない場所にいるのは確かだが。帰る方法を探そう。ここで焦っても何の解決にもならない」
峰川さんはヒステリックを起こしかけている女子を安心させるように説得していた。
「とりあえずスキルを確認していこう。もしかしたら何か分かるかもしれない。じゃあ君から時計回りに言ってもらえる? 」
女子達も頭ではここでヒステリックを起こしてもどうにもならない事は分かっているのだろう。お互いに、きっと帰れるよ、などと励ましあいながら峰川さんの話に耳を傾けていた。
「私は占いっていう良く訳分からないスキルなんだけど」
峰川さんに指名され、首を傾げながら話したのは桜野さんだった。
「使ってみろよ」
「そうだね。占い」
桜野さんはしばらく一点を見つめていたが、占いの結果が出たのだろうか。不思議そうな顔をしながら占いの結果を告げる。
「今日の運勢は大凶だよ。明日はいい事あるといいね。……だって。自分の運勢しか占えないみたい」
「使えないスキルだな。占いって」
既に取り巻きのようなものが出来かかっている江田さんが取り巻き達と笑っていた。取り巻き達も不良っぽい人が多い。
何となくだが嫌な感じと予感がした。
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