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「その言い方はないんじゃないの! 自分がいいスキル手に入れたからって」
桜野さんは江田達を睨みつける。桜野さんはけっこう気が強い子のようだ。
「いや、使えないもの使えないって言って何が悪いんだよ」
江田達は桜野さんの方を見ながら、見下すような笑みを浮かべていた。
桜野さんの方を見ると、怒りのせいか目尻を険しく吊り上げて、睨みつけていた。
不穏な空気が漂う。
このままじゃ喧嘩に発展しかけない。誰もが危機を覚えた時、峰川さんがストップをかける。
「桜野さんも江田さんもそこら辺にして。江田さんは人を見下すような発言は控えて。それに桜野さんの能力だってスキルレベルが上がればもっと強くなるかもしれないし、占えるだけでも大分役に立つよ」
「うるせぇな。さっきからごちゃごちゃと。俺に指図するな」
江田は態度を改める気はなさそうだ。峰川さんも諦めたのか、溜息を吐きながら、桜野さんの隣にいた子の方を見た。
「じゃあ次は君」
峰川さんが桜野さんの近くにいた子を指名する。
そういえばさっき時計回りに自分のスキルについて説明すると言っていたが、俺の番はいつだ?
桜野さん、今指名された夢咲彩乃(ゆめさきあやの )さん、んでその次は……。
あ、俺だ。
強奪のことなんて言おう。うまく誤魔化す方法が思いつかない。かと言って、強奪の事を話すと絶対皆から嫌煙されるよな。
俺が悩んでいる間もスキル説明が進んでいく。
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