淫雨

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 鶴見はゲイだ。  決まった恋人はいない。  適当に遊んでいるセフレなら何人かいる。  そっちの方はそこそこ満たされているのに、馨が女にベタベタされているのを見ると無性に腹が立つ。  屋敷に戻り、急いでシャワーを浴びて大学に取って返す。  車の中も一応拭いた。これで文句は言われまい。  鶴見がこれだけ気を使っても、馨は何も言わない。  気を使われて当たり前だと思っている人種だからだ。  だが気を使わなければたっぷりと嫌味を言う。  馨はそういう人種でもあった。
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