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「わあ。きれい」
「だろ? ちょっと待ってて」
少年はいくつか花を摘むとその花で何かを作り始めた。
「何を作ってるの? 」
「完成してからのお楽しみ」
少年はいたずらっ子のような笑みを浮かべる。
少女は花畑を掛ける。花の香りを嗅いだり、蝶を追い掛けたりと忙しなく。
「よし、出来たぞ」
少年は少女の頭に花冠を乗っける。その花冠は少女によく似合っていた。
「わあ。すごい」
「それあげるから元気出せよ」
少年は優しく微笑む。
「うん、元気出た! ありがとう。えっと」
「俺の名前は佐倉陵(さくらりょう)だ」
「私は赤月雫。陵にはこれを上げる! 花冠のお礼」
少女はぶら下げていてネックレスを差し出す。これは少女が5歳の誕生日に両親からもらった宝物だった。でも少女はこの少年になら渡してもいい気がした。
「ありがとう」
少年はそのネックレスをさっそく付ける。
「似合ってるよ」
「そうか」
少女と少年の過ごした時間は短かかったけれど、互いにとって大切な時間だった。
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