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「今夜12時、貴方に届け物があるわ。」
最近忙しくて、連絡をとっていなかった彼女の由美からメールが届いた。
あぁ、と素っ気ないメールを返して僕は仕事に出掛けた。
忙しかったのは、始めは仕事のせいだった。
でもしばらくして、仕事にも慣れ時間に余裕が出来た、けれども学生時代から付き合っていた由美に連絡しないでいた。
その理由が同期の香織の存在だ、まだ何かあった訳ではないが、しばらく連絡しなかった気まずさもあり、このまま香織といい関係になれたら良いなと思っていた。
自然消滅なんて、都合よすぎるよな?
17時に、仕事が終わり腕時計を眺め呟く。
「夜12時って遅いよな…」
街をのんびり歩きながら由美に電話するか考えていた。
ピロリロリン着信音がなる。
「あ、光一?もう仕事終わったの今から会える?」
「お、あー大丈夫だよ。」
合鍵を持っている由美は家で待ってると言っていた。
そういえば、今日はバレンタインデーだった、由美のやつわざわざチョコをくれるつもりだったんだな?
まだ、忙しいっと思って夜遅くに届けるつもりだったんだな、そういえば由美はむかしから細かい気遣いの出来る女だったな。
浮気はしていないが、心移りを少し反省した、これからは沢山会ってあげられるちゃんと向き合おうと思い僕は走った。
「はー、はー、由美ただいま、はー、はー。」
キッチンでエプロン姿で、ニッコリ笑う由美がいた。
ゆっくりと冷蔵庫を指差した。
「あー、チョコだろ?ありがとう由美。」
僕は、素早く冷蔵庫のドアを開けた、そこには、冷蔵庫いっぱいに詰め込まれた茶色になった香織がいった。
後ろに居た由美が囁く。
「浮気男にピッタリの、チョコレートでしょ?」
完
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