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「おねーちゃん、またねー!」
去り行く子供の姿に、私も手を振り返す。
年末に近付いて、今日は特に忙しい。
私は支配人だから、打ち合わせとか従業員の指導とか色々…
仕事が一段落してから外に出て、「またね」なんて言ったら何回それを言う事になるのかしらね?
だから、私は。
次また会えると確信した人にしか言わない。
会えないって、分かってて言うのは寂しいもの。
「やだ…私ったら、何子供っぽい事を言っているのかしら。」
木枯らしが吹く寒い中、体をギュッと抱き締めながら歩く。
ヒュウゥと聞こえる程の風は、まるで今の私の心を表している様。
夜風が体に染みる。
「姉貴おせーよ。」
目の前には、いつか“またね”を告げた妹。
膨れっ面で、着崩した制服のポケットに手を突っ込みながら足をカツカツとさせている。
「アンタ…この時間にほっつき歩いているんじゃないわよ。変な人に襲われでもしたらどうするの?」
すると妹は視線を外した。
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