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落ち着く場所もなく
僕は壁に背を預け立ち尽くす。
「卒業してもうすぐ6年になるかい?そりゃもう昔の話だよな」
饒舌な椎名さんに比べ
征司はむっつり押し黙ったまま。
「どう?まあまあ?」
手渡されたカクテルにほんの少し口をつけた。
「君は?」
「結構です」
空気は依然緊迫したまま
「おまえの答えによってはだ」
ようやく征司が口を開いた。
「え?」
「おまえの答えによっては――そろそろ本気でおまえを潰しにかかってもいい頃かと思ってる」
「は……?何だよ。物騒じゃないか」
それは
冗談なんかじゃなく。
「ジンバックも不味いし、弟にとってもおまえは毒でしかない」
その場でグラスを逆さにし
中身を床にぶちまける。
明らかに挑発行為だった。
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