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次の瞬間。
重力で落っこちるリンゴのように
物凄い力で引っ張られ
「……お兄様っ!」
僕は廊下に仁王立ちする征司の懐に
すっぽりと収まった。
「嘘……だって屋敷からここまで車でも……」
計算が違う。
「誰が屋敷にいると言った?」
「あ……左様で……」
その場合
もちろん答えも。
「で――この頭の悪そうなのが愛人か」
最近にしては珍しく素面の王様は
卸したてのセクシーなブラックシャツの袖口を気にしながら。
「いやっ……あの……」
「結構だ。お引き取り願おうか」
神経質そうに眉を顰める。
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