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ここで食って掛かったら本物の馬鹿だ。
だけど
「分かった。大人しく帰るから乱暴はなしだ」
酸いも甘いも噛み分けて生きてきた分
ジンは引き際もわきまえていた。
「ごめんね……」
ジェスチャーだけで謝る僕に
ちょこっと人懐っこい笑顔を見せると。
「それじゃ失礼」
降参のポーズのまま僕らの前から姿を消した。
後に残されたのは――。
「まさか、僕まで投げ飛ばしたりしないよね?旧友君」
今になって旧知の仲を強調する
いかさま錬金術師と。
「ああ。もちろんだとも――」
優しく笑い飛ばす
「おまえなら一思いにやるさ」
内包のサディスト。
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