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狂ったシベリア虎みたいな目に
改めて惚れ惚れしていたのも束の間。
「せっかく来たんだ。一杯やらないか?」
ミニバーの小さなボトルをカチャカチャやりながら
椎名さんは飄々と僕らを手招きした。
「マティーニを作るよ?」
懲りずに何やら企んだ顔をして。
「残念。もう遅いし失礼しますよ。ね?」
僕だって引き際はわきまえている。
お遊びはここまで。
「帰りましょう、お兄様?」
甘えた声で促すも
「ジンバックにしろ」
「え?」
「素人の作ったマティーニなんか飲めたもんじゃないからな」
「お兄様ったら……」
余計
天の邪鬼の気を逆なでしたみたいだ。
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