episode209 お兄様の友達②

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狂ったシベリア虎みたいな目に 改めて惚れ惚れしていたのも束の間。 「せっかく来たんだ。一杯やらないか?」 ミニバーの小さなボトルをカチャカチャやりながら 椎名さんは飄々と僕らを手招きした。 「マティーニを作るよ?」 懲りずに何やら企んだ顔をして。 「残念。もう遅いし失礼しますよ。ね?」 僕だって引き際はわきまえている。 お遊びはここまで。 「帰りましょう、お兄様?」 甘えた声で促すも 「ジンバックにしろ」 「え?」 「素人の作ったマティーニなんか飲めたもんじゃないからな」 「お兄様ったら……」 余計 天の邪鬼の気を逆なでしたみたいだ。
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