149人が本棚に入れています
本棚に追加
「今夜は何て言って和樹を誑(たぶら)かしたんだ?」
王様の目に映っているのは
僕が汚して丸めたシーツと
ちょん切られたサテンの手枷。
「ジンバックが不味いのは謝る。でも――」
乱れたベッドをチラリ振り返ると
肩をすくめて
「その子が僕を頼ってくるのは今に始まったことじゃないだろ」
椎名涼介は悪びれず言った。
「彼は相談に来た。君のことでだ」
「俺のことだと?」
「最近の君はナーバスだって。僕は何とかしてやると言ったんだ」
「ふざけるな。その見返りがあれか?」
愛人を呼んでの乱痴気騒ぎ――。
「反吐が出る」
「それ相応だと思うよ。だって――」
椎名さんは突然
なんの前触れもなく言った。
「そういえば君、伯父さんになるそうじゃないか。おめでとう」
最初のコメントを投稿しよう!