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その日、男はいつものように ふらりふらりと、あてもなく放浪していた。
そしてとある森の奥、木漏れ日が射し込んでいる一角があることに気付いた男は、まるで誘われるようにそこへ歩を進めた……が、途中で立ち止まった。
── 何故なら其処には先客が居たからだ。
水色がかった綺麗な銀髪、透けるような白い肌に白いワンピースを着た女性……というには少々若そうな少女が一人、膝をつき両手で顔を覆って嘆き悲しんでいたのだ。
だが、木漏れ日が射し込んで辺りをキラキラと輝かせているため、彼女はまるで一枚のステンドグラスのように美しく、男は息をする事すら忘れて目を奪われたのだ。
─── その日から男は、明くる日も、そのまた明くる日もその場所へ訪れ、時が過ぎるのも忘れるくらい彼女に見惚れていた。
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