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そして漸く男は『スニーカーの神様』の名に相応しい爽やかな好青年になれたのだ。
今度こそ、ゴクリと唾を飲み込み意を決し緊張のあまり震える全身に渇を入れ彼女に近付いた。
「オ、オマエ!…ドウシテ、イ、イツモ泣イテイルンダ?」
声を掛けられた少女はゆっくりと顔を上げた。
大きな瞳は綺麗なスカイブルーの瞳だ。
目が合っただけなのに男は顔を真っ赤に染めた。
少女の口がゆっくりと開く。
「あなたは誰?」
「オ、オレハ『スニーカーの神様』ダ」
「……私は一度で良いから── 誰かと想いを繋げたい」
彼女の声は、風に舞う風鈴のように涼しく澄んだ綺麗な声色だった。
「………ナ、ナラバ嘆イテバカリデナク、ナ、何カヲスレバイイダロ?」
男の正直な意見に少女は静かに首を振った。
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