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「丸さんには言っておくから、ちょっとこっちに良い?」
そのまま微妙にペットボトルを握りながら
腕を掴まれて刑事課に向かう。
普段行くことのない場所に緊張する。
ここにはあんまり女性職員がいなくて、
今、産休・育休の片井さんが一番若いと聞いている。
ピリッとした雰囲気に飲まれそう。
「失礼します。」と、学校で習った通りの挨拶で入室し、
ブラインドで隠れる小さな小部屋に連れていかれる。
何もない殺風景の部屋。
菊池さんと松井さんと3人でいると、
菊池さんが
「ちょーっと待っててね。緊張しなくていいから。」と
部屋をいったん出ていく。
松井さんは、速水さんの家で見るような雰囲気は一切なく
ポケットに入れてあったスマホを取り出し、
確認しながら、
「嫌だったら断ってくれて全然かまわないから…」と
小さな声でつぶやいた。
いやだったらって?
嫌なこと頼まれるかもしれないってこと?
でも仕事に関することなら、
断っていいのかな?
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