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「おとり捜査。よくあること。 たまたま刑事課で人間を調整できないからって 数日前に向こうから打診があった。」 丸さんは机に少しだけ体重を乗せ、 私の目線に合うくらいにする。 小さいころから知っている優しい視線。 「まぁ…事件の詳細は、また…なんだけど、 男女一組で、その現場に行って、見てきてほしいってのが 向こうのお願い。でも一度協力すれば次も頼まれると思う。 毎度連れていく女性が違うってなれば、向こうも警戒するだろうしね。」 言いたいことはわかる。 「危険は伴うよ。色々と。それは俺らの仕事全般的に…。 でも、市民の安全を守るためには、身を挺さなければいけないことも たくさんある。」 丸さんは私から視線を外す。 きちんとした命令じゃないけど、 きちんとした命令だったら『嫌です』なんて言えないだろう。
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