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「イヤ。そう言う意味じゃないけど、
車の運転ね…俺、だいぶ速水さんにしごかれたんだ。
最初の頃…」
え?
体ごと松井さんに向ける。
「交通課の頃、いろいろと出歩くじゃん。
そうすると横で、まぁそれは細かい所まで…
見ていないと思えば見てるし…で、」
ははっと笑いながら松井さんは
それでも楽しかったと話す。
良い上下関係だと思う。
二人とも信頼しあっている様子が私もわかるほどだ。いつも。
「ほのちゃんの運転のことは何も言わない?」
「私の運転に乗ること…あんまりないし。」
「だねー。速水さんが、ほのちゃんに運転させることなんてないだろうね。
それはそれは、大事にしているから…」
大事にしてもらっていることは十分わかっているけど、
他人の前ではどうなんだろうか…と思う。
「そうなんですか?」
「そりゃー。いつも気にかけているよ。ほのちゃんのこと。」
あんまり聞かないほうがいい気がしてきて、
その先は返事をしなかった。
そこからは仕事の話、最近見るテレビの話、
速水さんのこと、
私たちの間に話題は尽きることなく、
あっという間に時間が過ぎていった。
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