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「ってか、小林さんが自腹のつもりだと思うよ。」
松井さんは遠い目をしながらぼんやり少し笑って話す。
「若い女の子の洋服なんてちょっと嬉しいよねぇ。
自分好みの格好に仕立てるなんて、そそるもん。って
気持ち悪い発言していたけど、まぁ…良いんじゃない。」
仕事で、それもあんまり接点のない上司から
服を買ってもらうってのが、自分の中で気持ち悪く思えて、
「えー。それだったら、ますます嫌です。
着るたびに、『これ小林さんに買ってもらったんだよな…』って
思うの嫌だもん。」
ぷーっと少し頬を膨らませて松井さんを見上げると、
「あ…それは、なんか俺も嫌かも。
一緒に歩いているときも、これ、小林さんの服ーみたいなこと
思いたくないね。確かに…
そしたら、俺が買っても同じかな?」
「自分で買いますんで良いですけど、松井さんだったら
大丈夫かな?もし、丸山さんにこんな風にしてもらうことが
有ったとしたら、『私のは良いから知香ちゃんに買ってあげなよ』って
言うかな。やっぱり。」
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