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必死に自分の気持ちを奮い立たせて、
視線だけは外さない。
隙を見せたら負けだ。
どんなに訓練していても、
男性の力で引きずられたら、
この人の車に乗せられてしまうことだってあるだろう。
何とか誰かが来てくれるまで、
それか、小さな隙狙って逃げるしかない。
「なんだよその目つきはっ!」
恫喝されるのはやっぱり気分良くないなぁ…。
薄暗くなってくる駐車場が、心細さを増長させる。
そんな時に、お母さんやばーちゃん、お姉ちゃんの顔が浮かぶ。
次に速水さんや諒介くん…そして松井さんの顔が浮かんだ。
涙がじんわりと浮かんで、
視界が悪くなるけど、
涙をこぼしたら負けだと、ぐっと歯を食いしばった。
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