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「おかえり。和希…」
「た、ただいま。昨日は悪かったな。」
ん?あ、昨日ね。僕にしてみたら雅臣氏!頑張れ!って感じだったけど…。
今はそんな気分ではない。
だって…だって!!!
「和希ー。雅臣氏ってやくざなの?」
はぁ?って近づいてくる和希は呆れてる?
でもさっきから夕方のニュースで凄いよ雅臣氏特集。
「うわっ!すごいな…テレビ。
今、大きい問題は築地くらいか。
ネタにはなるか。」
あ、豊洲移転でしょ?
確かに。
でも雅臣氏の会社ってこんなに大きいのか。
「つ、捕まるの?」
「んなわけあるか。」
でもその横顔さ。知ってる。
不安で心配で仕方ないって顔。
「メールしてみようかな、雅臣氏に。」
「………」
「止めないんだね。」
「…好きにしろ。」
ではさっそく…。
“テレビ見たよ。大丈夫?”
無難だ。普通だ。
返信はなし。
そりゃすぐ返されるなんて思ってない。
僕は気長だと思うけど、隣の和希はジッと僕のスマホを見てる。
「…風呂沸かすね。」
「あぁ。そうだ、しばらく店は休む。
改装しようと思ってさ。」
改装?
「そっか。ま、秘密がらあるなら早めに吐いてね。」
「お前は刑事か。」
今の時期に改装はおかしい。ぼくが卒業してからとかさ、和希は無茶をしないタイプだ。
しないというか18でシングルファーザーみたいになってるから無茶しないようになってしまったんだ。
「ま、僕は和希の事で反対することはないよ。あ、恋人は今のところ雅臣氏なら許せるけど。」
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