秘められた思い

2/26

429人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
*** 「おかえり。和希…」 「た、ただいま。昨日は悪かったな。」 ん?あ、昨日ね。僕にしてみたら雅臣氏!頑張れ!って感じだったけど…。 今はそんな気分ではない。 だって…だって!!! 「和希ー。雅臣氏ってやくざなの?」 はぁ?って近づいてくる和希は呆れてる? でもさっきから夕方のニュースで凄いよ雅臣氏特集。 「うわっ!すごいな…テレビ。 今、大きい問題は築地くらいか。 ネタにはなるか。」 あ、豊洲移転でしょ? 確かに。 でも雅臣氏の会社ってこんなに大きいのか。 「つ、捕まるの?」 「んなわけあるか。」 でもその横顔さ。知ってる。 不安で心配で仕方ないって顔。 「メールしてみようかな、雅臣氏に。」 「………」 「止めないんだね。」 「…好きにしろ。」 ではさっそく…。 “テレビ見たよ。大丈夫?” 無難だ。普通だ。 返信はなし。 そりゃすぐ返されるなんて思ってない。 僕は気長だと思うけど、隣の和希はジッと僕のスマホを見てる。 「…風呂沸かすね。」 「あぁ。そうだ、しばらく店は休む。 改装しようと思ってさ。」 改装? 「そっか。ま、秘密がらあるなら早めに吐いてね。」 「お前は刑事か。」 今の時期に改装はおかしい。ぼくが卒業してからとかさ、和希は無茶をしないタイプだ。 しないというか18でシングルファーザーみたいになってるから無茶しないようになってしまったんだ。 「ま、僕は和希の事で反対することはないよ。あ、恋人は今のところ雅臣氏なら許せるけど。」
/227ページ

最初のコメントを投稿しよう!

429人が本棚に入れています
本棚に追加