秘められた思い

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優希からはちゃんと朝御飯を食べて学校へ行くよとメッセージが来た。 雅臣の家ってタッパーとかないのな。 はぁ。家にはたくさんあるのに。 そんな時スマホが鳴る。 知らない番号。だけど直感で出た。 「はい、どちら「もしもし?和希君!俺!アッキー!今どこ??」 「アッキーさん。雅臣の家です。」 アッキーさんが俺の番号知ってるなんて、驚いたりはしない。 アッキーさんはほぼ忍者だ。なんでもアリだと思う。 「えっ?!そうなの!なら、来て!15階!ばーさんが苦しんだのに病院拒否してるんだよ!」 はぁ?!なんでっ!! 俺はすぐに煮物に蓋をして15階に上がった。 アッキーさんが出迎えてくれる。 「ばあちゃんは…」 「薬で落ち着いたよ。でもさ…」 アッキーさんの表情から理解する。 もう長くはない。 このままでいいのか? そんなわけない。 ばあちゃんの後悔はただ1つ。 俺は財布から1枚の名刺を出す。 アッキーさんはその名前を見て「うわっ!」と声を挙げた。 番号を押す…… どうなるかは分からないけど。 「はい。竹之内グループ秘書室でございます。」 「あ、あの…竹之内会長はいらっしゃいますか?」 「アポイントメントはございますでしょつか?」 予約?んなもんないに決まってる。 「いえ。ないんですけど、私は山城和希と言います。会長に伝えて……」 「どちらの山城様でしょうか? 会長はただいま……ぁ…はい、どうぞ。」 ん?電話の向こうで何か変化が起きてる。 「和希君……だね。」 うわ!出た! アッキーさんは“マジ?!”って口パクしてる。 「はい。そうです。」 「どうしたんだ?雅臣の事か?」 「違います。あなたの母親の事です。 ……先程苦しんでました。 はぁ……バカ息子! 後悔したくないならパークマンションの15階に来て会えよ!!」 「…………」 俺は電話を切った。 アッキーさんは、ちょっと顔が青白い。 「親父来るかな?えーこわっ! 俺、隠れてていいかな。」 本当に来るか分からないし、俺の起こした行動は吉と出るのか凶と出るのかも分からない。 でもこのまはまで良いわけないよな、雅臣。 お前の事もばあちゃんも、バカ息子もなんとかしたいんだ、俺。
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