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インターフォンに少し前に見た顔が映っている。
眉間に皺を寄せて気まずそうな困ったような怒り顔。
どんな気持ちなのかサッパリ読めない。
「………」
「…………。」
何も言わずに解除を外す。
もう何秒かで目の前にこの顔が来ると思うと緊張した。
ばあちゃんの店をめちゃめちゃにした男。
もちろん怒りもあるけど、それよりも親の最後が近いと知ってすぐに来た。
憎んでるなら……こんな早く来るか?
たった10分そこらだ。
エレベーターの扉が開く。
目が合う。
「…母はどこだ?」
「奥の部屋。話せるかは分からない。」
会長はふぅとため息を吐いてズカズカと奥の部屋に進む。
部屋に入っていったけど、扉は開けたままだ。
…話を聞いてもいいってことか?
クローゼットに忍者が潜んでいるけど、下手したら寝てるかもしれない。
俺は扉の横に立った。
チラッと覗けば、会長はベッドの椅子に座りばあちゃんを見てる。
何を思ってるのかわからない。
もしかしたら何も会話できなくて終わりとか…
俺のした事はただ居場所を知らせてしまっただけなのか。
雅臣やアッキーさんがばあちゃんをかくまってたことを無意味なものにしてしまったのか…。
雅臣、ごめんな。
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