バラの花束をあなたに

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「6年も経って和希に恋人がいないなんて思ってないよ。でも――」 長い指であごをクイッと上げられる。 俺のすべてを知っていると言わんばかりの瞳に見つめられる。 「――俺のこと、すぐに忘れられた?」 !!!! 忘れられるわけなかった。 嫌いなったわけでもない。 既婚者との恋愛なんて御免だった。俺は両親みたいに愛し愛される乙女チックな関係を望んだ。 この人はいつもどこか俺を試して不安にさせて追い詰めた先で甘やかす。 疲れたんだ。 未熟な二十歳の自分にはもう戻れない。 もう…… 俺、雅臣と出会ったんだ。 「俺、今……「和希さん!!!」 俺と如月さんの近い距離に驚いてる雅臣が立っていた。 「あ、君。今すごい有名な竹之内社長でしょ。」 如月さんから少し距離を取る。 不自然な距離だったのは認める。でも雅臣には誤解されたくない。 「ま、雅臣。こちらは…「如月です。和希の恋人候補ね。」 この人は本当に…昔から変わってない。 「…そうですか。あなたが恋人候補を名乗れるなら僕も名乗れます。 僕はほぼ恋人です。」 天然雅臣!!! 雅臣の発言に如月さんは 「ひゃははははは!!!」 わ、笑ってる。大爆笑。 「き、如月さん?」 「はぁー。和希。君はこの天然社長に愛されてるの?…はぁー。参ったな。」 え? 「天然には敵わないよ。 そうか。和希…良い相手ってのは彼だね?」 「はい…。」 「和希さん…」 如月さんは困った顔をした。 「いや、あのタイミングで入ってくるわ、あの恋人宣言だろ? …計算高い俺にはないものをもってるよ。6年前、姿を消したのは子供が出来たからなんだ。」 えっ……知らなかった事実に驚く。
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