バラの花束をあなたに

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「離婚はね、僕からではなく妻からね。 情けないんだけどさ。 男つくって出ていったんだ。 信じられるか?天使のような娘を置いて。」 知らなかった。 あのすべてにおいて完璧だと思っていた大人な如月さんが……。 「如月さん……」 「和希が嫁に来てくれたら最高なんだけど。いやぁーまさかね。 あ、でも社長に飽きたら歓迎するよ。 じゃ、案がまとまったら連絡してね!」 俺に名刺を渡して颯爽と帰った如月さん。 6年の間に色んな事が変化するんだと思った。 俺の手の中の名刺を失礼!と雅臣が覗き混む。 「……えっ!如月遠矢っ?!」 「んあ?知ってんのか?雅臣」 「この人、少し前まで海外で仕事して賞とか貰ってるデザイナーですよ!」 「へぇー。如月さん。 俺なんかより嫁候補いんだろ?」 俺の一言で雅臣はショックを受けたような顔をした。 「…なんだよ?」 「まさか候補名乗り出ませんよね?」 …天然!! 「バカか。そのつもりなら店に鍵かけてお前が入れないようにしてるわ。」 そんな目で見るなよ。 「ドア、蹴破りますからね。」 はいはい。確かに天然相手は勝てる気がしないな。 でもこの声、顔、落ち着く。 素でいられて落ち着く。
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