バラの花束をあなたに

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「善人、モテるのも困るな。」 うーんって善人は複雑な顔をしてる。 なんだよ、お前まで。 「優希、俺…帰るわ」 「へ?…あ、うん――」 「ちょちょちょ、待てって!善人! 優希も!切り替えろよ。 二人が変な感じになったら意味ないだろ。もしかしてコレを狙ってるのかもしれないぞ?」 はぁっっ?!って二人とも俺を見る。 けど、そうだろ? 二人がギクシャクしてその隙に…みたいな策士。 「確かに。あの子、計算高そう…」 「って!俺、そんなんで好きになったりしねぇーけど…」 まぁな。 てか、最近善人の恋愛話は全く聞かない。 水泳のしすぎか? 「まぁー高3なんだしな、二人とも恋愛するなら今のうち楽しめよ? 受験だなんだって時間なくなるぞ?」 「だよなー。でも俺はもういいかなー」 善人は肘をついて右頬を拳に乗せた。 「は?なんで?」 「好きな奴はいる。でもどうもこうも無理そうだし。」 善人の言葉に優希は驚いてる。 どうやら知らされてないようだ。 「諦めるな、若者!先はまだ長いぞ?」 「和希にぃちゃん…相手と好き合っての恋愛でしょ?一方通行じゃ実らないよ。 じゃ、雅臣氏がまたカテキョしてくれる時来るわ。」 それいつになるか知らないけど俺。 優希は無言で送るって立ち上がった。 「いいよ。女子でもないし。 送られた後の優希のが心配だわ、はは!」 優希はまた口を尖らせる。 「あ、俺、調味料買いたかったわ。駅まで行く。」 とりあえず善人を確保して話を聞こう。 優希は玄関まで来てくれて二人で家を出た。
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