バラの花束をあなたに

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*** こっちだよー!と手を振る相手が見える。 雅臣はちょっと嫌そうにしているのが笑えた。 「雅臣。付き合わせて悪いな。」 「いえ。むしろ僕が来たがったんですから。」 相手のそばに行くと手をつないだ6歳の女の子が恥ずかしそうに立っていた。 「如月さん。お待たせしました。」 「僕とコノミも今来たとこ。ご挨拶は?」 如月さんの愛娘のコノミちゃん。 ニコニコしてるけど照れてるのか如月さんから離れない。 眉を八の字にする如月さんは父親の顔だ。 今日は如月さんの紹介で店の内装で使う家具や椅子を見に来た。 着々とリフォームも進んでいる。 俺は夜中のスナックをやめて昼から夜に営業することにした。 前のレトロな雰囲気も好きだったからその感じは残したい。 如月さんと家具を見ている間、雅臣はコノミちゃんの相手をしてくれるようだ。 確かに家具屋って子供には飽きてしまうかもしれない。 「悪いね。雅臣君。じゃ和希を借りるよ」 「いーえ。」 雅臣は爽やかに笑ったつもりかもしれないが目は笑ってない。 雅臣の焼きもちが嬉しい。 雅臣とコノミちゃんは子供が自由に遊べるスペースに行った。 ちゃんと手を繋ぐ雅臣は優しいお兄さんってとこかな。
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