僕と兄貴と彼の話。

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「…マサさん?」 俺の呼び掛けに驚いたように振り向く雅臣。 「き、きよちゃん。混乱します…和希さんなのにきよちゃんで。恋人なのに…」 「…バカ臣。どっちも俺だ。」 声のトーンを和希に変えて話す。 雅臣は和希さーん!と抱き締めてきた。 「雅臣。みんなと飲んでいいからな? みんな、お前と飲みたいんだよ。」 「え、でも…」 雅臣の何か言いたそうな唇を塞ぐ。 「いいから。料理も温まってきたし、カウンターに雅臣がいたら落ち着く。」 雅臣についてしまった口紅を手で拭った。 「和希さん。ちょこちょこ手伝いますから。」 雅臣はそう言って俺の腰を撫でてキッチンを出ていった。 いやらしい手つきに体が火照る。 食事を用意ながらも冷静になるように努めた。 雅臣。わざとか?なわけない、あいつは天然だ。 煮物を皿に盛ってカウンターに戻れば、他の常連さんも来ていて雅臣はビールを出してくれていた。 「マサさん、ありがとう。」 「あっ…いえ…」 マサが赤面したのをてらさん達がからかう。 「マサ、きよちゃんはみーんなのものだぞ?」 「分かってますって!」 みんな楽しそうだ。 この様子をみたらばあちゃんもきっと喜んでくれるだろう。
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