春は出会いの季節って本当なんですね。

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その後、和希さんはコーヒーを淹れてくれました。 どうやら帰る事は免れたようでひと安心。 「マ、マサはモテただろ?」 「いえ。モテないですねー。高校に2年まで背が低くて。」 今は186ある。高3の時にニョキニョキ延びた。 バレーしてたからか。 和希さんはうそつけって口を尖らせてる。 「…可愛い顔するの可愛いですね。」 「おまっ、ついに頭いかれたな!」 いかれてはいない。 ただ和希さんにはちゃんと伝えたい。 「僕だってそれなりに恋愛してきました。童貞ではないし。 でも今は和希さんに欲情してますからね。僕を見つめるその顔に。」 「今だけだろ。そのうち我にかえるよ」 んー。なんてひねくれものなんだ。 そこもゾクゾクッとした。 「和希さんに好きになってもらえるよう頑張ります。 あ、会員制のbar!お触り禁止ですからね!」 和希さんに誰かが触れることは許されない。 「ははっ!誰も触んないし。」 「じゃ、僕だけ。 和希さんへの気持ちは今まで他の人に抱いたことのない気持ちですから。」 プッと和希さんは吹き出す。 何か間違ったんだろうか。 「何でそんなに饒舌になるんだよ!」 「それはなります。あんなやらしいキス初めてしたんです。 和希さんを欲する気持ちを伝えるのは朝飯前です。」 そうだ。 あんなキスできたんだ。 あれ以上の事をどうするのか分からないけど、とにかくこの人が愛しい。 「僕も和希さんに好きって言ってもらいたいです。 あ。先に唇を奪ってしまってすみません。好きって伝えてからキスして良いか聞くべきでした。」 僕の後悔に和希さんは笑っている。 「変な奴。 普通、あんなんしないし。」 やっぱり。だめだったのか…落胆する。 「好きでもない奴と。」
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