裏切りの真実。

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「いい。やめろ。俺に触るな!」 「和希さん!血が!」 お前のその声が… 優しい顔が… 「嘘に見える。お前の全部が…」 マサは俺の顔を見てショックを受けている。 そりゃそうだ。 26歳の男が泣くなんて。 「俺はきよだよ。双子じゃない。 俺もお前もお互い嘘をついてた。 もう2度と来るな。 お前の顔も声も…忘れたい。」 「…僕はただっ「やめろ。頼む…」 「和希さん…」 「頼むから…もう俺の名前を…呼ばないで」 「せめてこれだけ…」 そう言ってマサは俺の手をハンカチで巻いた。 その手は俺が知っているマサの手。 「……」 「…か……僕は本当に…」 ブーブーとタイミングが良いのかマサのスマホがなる。 「行けよ。…これっきりだ。」 「嫌ですから。」 は?顔をあげるとマサの顔が真剣だった。 「俺はもうお前とは関わりたくない。」 「必ず…なんとかします。」 お前の目的はなんだ? 「早く行けよ。頼む。お前の事は忘れる。」 「ぼっちゃん!会長が呼んでるっす!」 男がわざわざ呼びに来た。 マサは俺の手に何かを握らせた。 その手は温かくて… 今の俺には辛すぎた。
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