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マサが俺に握らせたのは鍵。
なんなのか分からないけど、どうでも良くなってる。
「あー痛い…」
ハンカチに血が滲む。
くそっ。
深くないと思ったけどそうでもないみたいだ。
とりあえず、食材をなんとか冷蔵庫にしまう。
でももうダメだ。
さすがの優希もこの散らかり方の修復は出来ないだろう。
とりあえず、頭が回らないから人に聞こう。
電話をかける。
「よう!和希。どうした?」
「あ、すみません。遅くに。
翠(あき)さん、手を切っちゃって。遅くても処置できるとこあります?」
俺の行きつけの美容室の店長。
すぐ駅の近くに店がある。ここからも近い。
ものすごく美形な人。男の恋人がいるのも知ってる。
手を切るなら美容師でしょ。
夜も遅い。
翠さんなら知ってるはず。
「あー知ってるよ。今から行くのか?
なら先生に電話しとく。
場所は○×薬局の3階だよ。即縫ってくれるから。」
…縫う?!
ゾッとするけど。
化膿したら厄介だ。
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