裏切りの真実。

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立ち去りそうにもない。 昨日の輩とは違って身なりも綺麗だし、爽やかっぽい。 観念して扉を開けた。 「…はい……」 「こんにちは。始めまして。私、こう言う者です。」 名刺を渡される。 法律事務所? え?って顔で見ると180センチくらいの男が立っていた。 爽やかすぎる、怪しい。 「そ、そんなに警戒しないで下さい。 竹之内社長からのご依頼できました。あときよさんから。 私、弁護士の須泉司(すずみつかさ)と申します。」 「はぁ…なんです?」 「…山城さん。中に入れて…頂きたいです。」 あ、扉を10センチだけ開けて話していた。 「どうぞ。めちゃくちゃですけど。」 そう言ってドアを大きく広げると須泉弁護士は 「これは、ひどいですね…。」 そういって鞄からカメラを取り出した。 「えっ?」 「証拠集めです。撮っても良いですか?」 証拠?…俺が頷けば須泉弁護士は細かく写真を撮っていく。 「これ事件にする感じですか?」 「…うーん。切り札にするつもりです。」 切り札? サッパリだ。 「須泉弁護士。ご結婚されてるんですね。」 綺麗に指輪が光ってつい聞いてしまった。 「幼馴染みです。」 はぁー幸せそうだこと。 仲良くなったら完全にノロけ話をするタイプだな。 「店が修復出来たら奥さんと来てください。」 「はい、ぜひ。…要は好きそうだな、うん。」 須泉弁護士は何枚もの写真を撮り終えて無傷なボックス席に俺を誘導した。
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