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「今日、伺ったのは竹之内社長の依頼です。」
「マサ…の…」
須泉弁護士は鞄から封筒を出す。
な、なんだ?
サッパリだ。マサの依頼って。
「これは、竹之内きよさんの遺言書です。」
「遺言?!ば、ばぁちゃん…し、死ぬのか?」
遺言?!いきなりの言葉に驚く。
しかも血のつながりのない俺には無関係のはず。
「今、病院におられますよね。
…健康な方は入院はされないはずですので…。」
須泉弁護士は言いにくそうにしている。
それはそういうことを意味する。
確かにばあちゃんはもう高齢だ。
90歳近いし。
「竹之内きよさんはこの辺りの土地を所有しています。それをあなたに、山城和希さんにお譲りしたいと。」
出た。その話。俺はそんなもらうなんて出来ない。
「いや、それならマサ…竹之内雅臣にするべきではないですか?
俺は血の繋がりもない。」
「混乱はお察しします。
しかし、きよさんはこの土地を守りたいと思っています。竹之内社長では、会長に奪われ兼ねないと危惧しています。」
土地を守る?!
なんの話だ。
「この土地を…竹之内が所有すると何かあるということ…ですか?」
「そうです。近々、この辺りが騒がしくなります。」
は?全くみえないけど…
「すみません。まだ水面下で動いているらしくてお伝えできないのですが…」
極秘って事だろう。
弁護士にも守秘義務があるし。
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