裏切りの真実。

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一昨日の土曜の夜… 優希が義人の家に泊まりに行った夜だ。 起きたらマサは打ち合わせでいなくなった。 マサは須泉弁護士に会いに行ったんだ。 そうか。 マサが誰に会っていたのか分かってホッとしている自分に気付く。 「遺言書は私が預かっておきます。 貴方に危険がこれ以上起きても竹之内社長が心配されますから。」 「わ、分かりました。 須泉弁護士は平気なんですか?危険は…」 須泉弁護士はにこりと微笑む。 「慣れてます。仕事ですから。」 なるほど。愚問だったか。 あ、鍵…マサに渡された鍵の事を知っているのだろうか。 「他に何かありますか?そのマサに言われた事で。」 「いえ。ありません。 しかし…竹之内社長は今、あまり身動きがとれないと仰っていました。」 え…マサはひどい目にあっているのか。 俺の目が泳いだ事に須泉弁護士は気付いたんだろう。 「ご心配なく。さすがに顔がメディアに出ているので顔は綺麗だと思われます。」 顔は?顔はって体は…あんな荒い男達とつながっているんだ… 「マサ…」 「山城さん。社長は自分は何をされても守りたいものを守れるなら構わないとも仰っていました。」 ……マサの事が気がかりで仕方がない。 あんなに冷たくしてしまった。 「あ、権利書を探していました。ここの権利書!!」 「権利書は今、私が預かっています。 社長が持っていたんです。」 は?マサが持っていた?! 「きよさんから預かったそうです。一昨日。その日のうちに私のところへ持ってきました。うちの金庫は厳重なのでさすがに奪われたりしません。」
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