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テレビの情報によれば、この辺りを駅ビルと繋げて大掛かりな巨大施設をつくるらしい。
確かに駅の反対側も随分派手になってきた。
ここだけだ。
昔ながらの商店街は。
でもそんなに景気は悪くないと思う。
シャッター通りなんていうところもあるけど、ここは地元に愛されてる。
活気がある場所だ。
てらさんの八百屋も常連さんの精肉店、酒屋だってみんな協力しあってる。
他の飲み屋も商店街の店から品物を仕入れているし、なんの不満もない。
あの会長、ただばあちゃんのものを奪いたいとか?
分からない。本当にあの貫禄は恐ろしい。
とりあえず、ばあちゃんに会わないと。
…病院…
調べて電話をしてみる。
前に通院してる時期に行っていた病院を知ってる。
「……はい。○○総合病院です。」
「あ、すみません。そちらに竹之内きよさんという方は入院していますか?お見舞いに伺いたいのですが…」
「申し訳ございません。個人情報ですので…ちなみにご関係は…?」
なるほど。今はこんな風に情報の保護がされるのか。
「きよさんの店を任されているんですが…血縁関係はありません。山城と申します。」
「お待ちください。」
しばらく耳にピアノの演奏が流れる……
すごい待たされる。
な、なんだ?!まさか会長の手がまわっていたりして…
ドキドキする。掛けては良くなかったか?
「山城…山城和希さんですね?」
「あっ、は、はい。そうです。」
フルネームに更にドキリとした。
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