429人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
「和希がずっとくれたお金…」
「いらないよ!ばあちゃんの為に使ってよ!」
ばあちゃんににこりと微笑んだ。
もう弱々しいのが分かる。
「もう余命3ヶ月なんだよ。いらないよ、店の改装費にでもして。あと優君の事とか。」
「ばあちゃん、3ヶ月って…」
「あ、店はスナックじゃなくてもいいんだ。和希の好きにしてね。もうお前のものになるんだから。」
にゃはは!と笑うばあちゃん。アッキーさんと同じ笑い方だ。
「この年まで生きて楽しかったんだ。
何も後悔なんてない。あのバカ息子の事以外はね。
和希、あんたがいてくれて良かった。本当にありがとう。」
ばあちゃん…
涙が溢れる。この人に助けてもらわなければ今の生活はない。
「生きてほしい…」
本音が漏れた。
「和希、あんた…それは酷だよ。
にゃはは!いつでも見守ってる。
雅臣をよろしく。私の料理が食べたいって言うからきよを教えたんだ。」
ばあちゃんが…初めから権利書目的ではなかったんだよな。
あいつ…
「分かった。雅臣を…もらいます。」
「にゃはははは!和希君、結婚宣言だね!さ、朝食できたよ、ここでばーさんと食べよう。」
アッキーさんの朝食は至ってシンプルだった。料理が得意ではないけど好きだとか。
ばあちゃんは少しずつ、ゆっくり食べた。
俺はなかなか喉を通らなかったけど、同じペースで食べた。
もうすぐこの人はいなくなってしまう。
あの親父、この事知ってて土地奪うのかよ。
昼過ぎにうちへ戻った。
優希は学校行ってくる!ってメールが来てた。義人んちにお礼を言わないとな。
最初のコメントを投稿しよう!