429人が本棚に入れています
本棚に追加
/227ページ
「あの…どして…」
「やまちゃん…あ、山城さんね。かずちゃんのお父さん。
二人が亡くなって葬儀にも出たよ。俺。でもかずちゃんとゆうちゃんをどうしたら助けられるか分からなかった…」
そうだ。
葬儀をしたんだ。まだ18歳でほぼ葬儀屋の言う通りした。
てらさんは続ける。
「俺、八百屋だろ?何が出来るかって悩んでて、野菜をきよちゃんとこに届けに行った時に見ちまった。
かずちゃんが料理を習ってるところ。」
確かに。習いに行っていた。
「そんである日、誰かがきよちゃんの手伝い始めた。
中のキッチンから出てこないけど。
でもたまに和希って聞こえたんだよ。」
あーそりゃそうか。
のれんじゃ、声は筒抜けだよな。
「で、2代目きよちゃんはもしかしてかずちゃんかって…
本当にキレイでみんなが虜になったよ。
男だって分かっててもそんなのは関係ないくらい。
料理もうまい。癒し系美女で…」
「はは…癒し系…」
雅臣の顔が浮かぶ。
「だからみんなでかずちゃんときよちゃんは別に考えてどっぷりきよちゃんに癒されようって…」
俺、本当は地域の人に助けられてたんだ。
白い目を恐がっていたのは自分だけ。
本当はみんな助けてくれてた。
「すみません。昨日、店を開けなくて。というか開けられなくて…」
「聞いたよ。マサの野郎が夕方来たんだ。八百屋によ。
ひどいんだろ?手伝うよ。
俺達、かずちゃんの料理食べたいんだ。
それに地域開発な!あれも反対だ!
店なくなっちまう。」
そうだ、開発地域はてらさんの店もだ。
「分かりました。
もし、時間が空いたら片付けお願い出来ますか?」
「おうよ!てか、今日は嫁がやってくれてる。早くかずちゃんとこに行けってさ!
あいつも実はきよちゃんファンだからな!」
ファ?ファン??
きよはみんなに愛されてたんだな…
嬉しい…
こんなに暖かかったなんて…
なんで気付けなかったんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!