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真っ直ぐに見据えるグレイの瞳がクリスを捕える。
鋭利な刃物の様に冷たさを含んだ眼差し。
それがフワリと緩んだ。
「お礼を言わなければと思ってたところだ。お茶を煎れるからそこに早く掛けるといい」
「え…お礼?」
「ああ、クッキーをありがとう」
「──っ…え、あっ…そんな、お礼なんてっ」
女学生達の憧れの的。美しい管理人。グレイに優しく微笑まれクリスの顔が一気に熱くなる。
「ふっ…謙虚な態度は美しいが…クリス、そこに立ったままでも困る。直ぐにお茶を用意するから早く座りなさい…」
グレイは手を忙しく振りながら謙遜するクリスを笑う。
「ああ、ついでにその扉も閉めて欲しい」
「…っ…はい…ごめんなさい」
赤くなった顔をうつ向かせ、グレイに頼まれた通りに開け放したままの扉を締めると申し訳なさそうにクリスは椅子に腰掛けた。
骨董品の美しい柄を織り込んだ椅子の生地。座った感触が程良い硬さのクッション。
クリスはその手触りを確認しながら身体を椅子に預けた。
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