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押し拡げられた秘口の奥を掻き乱す雄心の熱さに意識が溶け出す。保憲の大きな掌の中で、しとどに濡れきった晴明自身が隠微な水音を立て続ける。
ほとんど着衣が乱れていない保憲の下で、単(ひとえ)に手を通しただけの晴明が展翅された蝶のようにもがいた。
内腿をとろりと伝う感触は、ついさっき保憲が中に放った残滓なのか、それとも自身から零れ落ちる雫なのか。
快楽の階(きざはし)を上る身体に漣が走りはじめる。
「───ッ」
愛撫されていた根元を不意に強く掴まれて、晴明が大きく息を呑んだ。
「……もう少し楽しませろよ……お前の中、スゴイぜ」
どろどろだ、と保憲が薄い笑いの混じった息を耳元に落とした。
「ん……あ、あ―――っ」
いいんだろう、と感じるところばかりを擦り上げられて、もう、と晴明が髪を散らす。
塞き止められた情熱が疼痛のように背骨を這い上がる。
「やす……苦しっ……う、ぁ……」
容赦なく責め続けられて床に晴明の額が落ちる。かり、と立った爪が白くなった。
「ココは悦んでいるがなぁ」
ぎりぎりまで引き抜けば離すなと言うように粘膜が絡みつく。奥の奥まで埋め込めばもっと深くと誘い込まれる。わざと音を立てるように秘門をぐちゃりと掻き回されて、濡れた肌の擦れ合う音が聴覚を犯していく。
「い───……っあ、あ……や……っ」
言葉を成さなくなった晴明に、背後で保憲が声を出さずに笑う。
「───ふ」
緩められた指に、晴明の伏せた睫が揺れた。
息をつく間もなく強く握られて擦り上げられて。追い上げられる晴明があえかな声を零しつづける。
晴明の背中に寄せていた身体を起こした保憲が、抱え直した腰にぐいと突き込む。
声なき叫びを上げた晴明の背中が大きく撓った。
かくりと力の抜けた身体を抱きとめて、保憲が後ろからうなじにくちづけた。その掌に吐き出された白濁をぺろりと舐める。
「───篝(かがり)」
御簾の中、微かに空気の動く気配がして甘い香の匂いが立つ。
ふっと現れた小袿(こうちぎ)姿の女が、熱い湯で絞られた手巾を保憲に渡す。
式の気配に晴明が薄く瞼を開いた。
『……また酷い真似を』
典雅に描かれた眉が顰(ひそ)められる。
「煩い───去(い)ね」
保憲の言葉に、つん、と細い顎を背けて式が姿を消す。
保憲が手巾で晴明の身体を拭いはじめた。
「―――っ」
下肢の奥に手を伸ばされて、晴明が微かに身を捩った。
「……少しは加減というものを」
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