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灯芯の炎が揺れる。
照らされるのは文台の上に開かれたままの書物に硯。床に散った紙の上には計算尺、それに占盤。
宮城(きゅうじょう)は陰陽寮の一室である。
「……ふ……」
灯りから少し離れた薄闇の中に吐息が落ちる。
二藍(ふたあい)の直衣(のうし)の下に押さえ込まれた白い手足が床に這う。
「───はっ……あ……う」
後ろから突き上げられて、晴明の噛んだ唇から抑え切れない声が零れた。
「あまり声を出すなよ……宿直(とのい)に聞こえる」
後ろから耳朶に落とされるのは、笑いを含んだ保憲の声。
「だっ……たら、もう止め……っ」
弄るように小刻みに穿つ動きに、あ、あ、あ、と語尾が切なく上ずった。
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