第1章

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分かりきったように耳朶を舐(ねぶ)られれば、単(ひとえ)の上からでも分かるくらいに胸の突起が芯を持つ。 床に這わせられて腰を上げさせられて。焦らすようにゆっくりと下肢を暴かれれば、愛撫に慣れた身体はもう甘く蜜を零しはじめる。 まだ初夏だというのに日照り続きで蒸し暑い夜が続くから、蔀戸(しとみど)の上半分は開け放ったままだ。御簾(みす)が降りているとはいえ音を遮るには余りに心許ない。 まだ意識の隅に残ってはいる羞恥心が、喉元をせり上がってくる声を殺そうとするのに。 声を出すなと言っておきながら、噛んだ唇を保憲が指で割って弄ってくる。 「───ん……んぅ」 口腔を深く犯す指に促されて昂ぶりを含む動きで舌を絡めれば、閉ざす事を許されない唇の端から雫が伝い落ちた。
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