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「……青月」
膝立ちで床に手をついた博雅が晴明を仰いだ。
晴明の腕が雷公に向かってすっと伸ばされる。広げた掌にぱちぱちと爆ぜながら球形の光が出現した。
ばり!
球電が放たれた。
ぎゃおん!
腹を貫かれた雷公の眷族が燃え上がる。
二度、三度と。鬼を落とした光が雷公に向かう。
長い爪の生えた指を鉤のように曲げた手で雷公が光球を撥ね返した。
ばっ、と音を立てて返った光が、清涼殿の屋根を貫いた。
なおも放つ光はことごとく撥ね返され、庭を焼いて樹木を倒していく。ばり、と貫かれた天井ががらがらと砕け落ちた。
「晴明、止め―――ッ!」
肩を掴もうとした保憲の掌が、じゅ、と音を立てる。晴明の身体を薄く覆う光が熱く脈打った。
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