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かくりと力の抜けた身体を抱きとめて、保憲が後ろからうなじにくちづけた。その掌に吐き出された白濁をぺろりと舐める。
「───篝(かがり)」
御簾の中、微かに空気の動く気配がして甘い香の匂いが立つ。
ふっと現れた小袿(こうちぎ)姿の女が、熱い湯で絞られた手巾を保憲に渡す。
式の気配に晴明が薄く瞼を開いた。
『……また酷い真似を』
典雅に描かれた眉が顰(ひそ)められる。
「煩い───去(い)ね」
保憲の言葉に、つん、と細い顎を背けて式が姿を消す。
保憲が手巾で晴明の身体を拭いはじめた。
「―――っ」
下肢の奥に手を伸ばされて、晴明が微かに身を捩った。
「……少しは加減というものを」
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