キスの記憶

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「はい。でも、どちらかというと隠密に仕事を進めた方が都合がいいので、関係部署以外はあまり出入りしていません」 「秘密なんですか?すごそう」 私が秘密だと言ったらバカにしたくせに、堀内嬢は目を輝かせた。 きっと経営コンサルティングのような華やかなものを想像しているのだろう。 「そんな大層な機密じゃないですよ。人事コンサルティングです」 「え?」 やはり期待と違っていたのか、堀内嬢はきょとんとした。 そんな堀内嬢に皆川さんは彼女同様にタメを作ってからえげつない言葉に言い換えた。 「いわゆる首斬りですね」 堀内嬢の綺麗な顔から表情が剥がれ落ち、完全な真顔になった。 仇討ちをしてもらったようで、ちょっとすっきりする。 まあ現実は、男好き性や弱い者苛め程度で首斬りはあり得ないけれど。
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