キスの記憶

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その間に男性二人は仕事の話題に移っていた。 「皆川さんはどんなお仕事を?」 「コンサルティング業務が主です」 「素敵なお仕事ですね」 それを聞いた途端、堀内嬢も会話に突入した。 「あの、失礼かもしれませんけど、皆川さんってもしかして……」 堀内嬢は小首を傾げ、少しタメを作った。 「私、受付をしているので毎日多くの方と接するんですが、うちの社でお見かけした気がします」 「ええ、そうですよ。受付を通らず訪問しているのに、よく分かりましたね」 「やっぱりそうですよね!もしかして、ってずっと思ってたんです」 私を完全に会話から閉め出し、堀内嬢は魅力全開で微笑んだ。 「取引先の方なんですか。どうりで僕も見覚えがあったんですよ。うちの社のコンサルティングをされているんですか?」 皆川さんはどう答えるのだろう? 事前すり合わせの時、彼の仕事内容については伏せておくように言われていた。
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