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身体を丸めて苦しむ私の背中を軽く叩きながら、皆川氏が朗らかに言っているのが聞こえる。
「まあ、一度は逃げられたんですが、結局僕が追いかけて捕まえたと、そんな感じですね」
すれすれで大暴露が回避され、ナフキンで涙目をぬぐう。
私を助けてくれるんじゃなかったのか、皆川氏よ。
「だから飲むのは僕の部屋だけでと言ってあります」
「へえ……。江藤さん、大事にされてるんだね」
「僕のエゴですけどね。信用してますから」
柄にもなく“大切に独占されている彼女”に祭り上げられ、まともに顔が上げられない。
すると、私の話題の間中ずっと黙っていた堀内さんが、艶っぽく皆川さんを見つめて話し始めた。
「私、あまり飲めないんですけど、お酒を頂くのが大好きなんです」
さすが華があって、彼女が話し始めた瞬間にその場の主役は彼女のものになる。
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